「目の前にいる、一人一人の患者さんをしっかり治していけばいい。」
この言葉は、父が私にくれた言葉で、私にとって一番大きな影響を与えた一言です。
22年前の11月、私の父が脳梗塞で倒れ、急遽東京から帰ってきて渡邉医院を引き継ぎました。
京都に帰ってくるまでは、日本大学の第三外科に所属していて、救命救急センターに勤務していました。
突然の父の病気、そして渡邉医院の継承。いろんな面で私には焦りや不安がありました。「このまま渡邉医院をしっかり引き継いでいけるだろうか?」、「私になって、患者さんが来てくれるだろうか?」などなど。
そんな私の姿をみて父が私に語ってくれたのがこの言葉です。「焦ることはない。目の前にいる、一人一人の患者さんをしっかり治していくことが一番大切なんだ。そのことをしっかり行っていれば、必ず患者さんはきてくださる。」と。
この言葉を聞いて、ハット目が覚めた思いがしました。何かの時はいつもこの言葉を思い出しています。
目の前にいる患者さんをしっかり治していく。当たり前のことですが、一番大切なことだと思います。「どこがどのように悪いんだろう。」、「それを治すには、どういった治療が一番その患者さんに適しているのだろう。」。としっかり診察し、治療をしていくことで、どういった検査がひつようなのか、どういった治療方法や技術が必要なのか。そういったことを一人一人、日々しっかり考えていくことで、医療は進歩していくのだと思います。
この父が私に語った言葉をしっかり胸に抱いて、これからの診療も続けていこうと思います。