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妊娠中は痔の治療はできないの?

妊娠中は、痔の治療ができないと思っておられるかただ大勢いらっしゃいます。そんなことはありません。妊娠中も痔の治療はでき、しっかり治すことができます。安心してください。妊娠3か月から9か月までの間でしたら、手術で治すことも可能です。

子どもを授かって、とても幸せな時期に急にお尻が痛くなったり、今まで持っていた痔が悪化してしまうことがあります。妊娠中に具合の悪くなる肛門の病気で多いものは、血栓性外痔核と内痔核です。また今まで持っていた内痔核が悪化して、さらにそこに血栓がつまって、内痔核が出たままの状態になって、とても痛い嵌頓痔核になる場合もあります。

内痔核が悪化したり、血栓性外痔核ができる要因には、おなかの中の赤ちゃんがだんだん成長して大きくなっていくことで、どうしても肛門の静脈瘤の流れが悪くなったり、また便秘になってしまって、排便時に強く力んでしまうこと等があります。

妊娠によって内痔核が悪化して、出血したり排便時に内痔核が脱出してくるようになても、軟膏を使ったり、軟膏でも症状が改善されない場合には、痔核硬化療法を行うことで症状は軽快します。痔核硬化療法は、パオスクレーといってアーモンドのオイルのなかに5%の割合でフェノールが含まれている痔核硬化剤があって、これを内痔核に注射して治す治療方法です。入院の必要はなく、痛みもありません。痔核硬化療法を行っても、通常通りの生活を送っていただけます。

また、さらに内痔核が悪化して排便時に内痔核が出てきて、押し込まなければならないようになったり、場合によっては内痔核に血栓が詰まって、外に出たままになって、とても痛い状態になることがあります。この場合でも痔核根治術といって、内痔核を根本的に手術で取り除くことも、妊娠中でも可能です。手術の際は1%塩酸プロカインという局所麻酔薬で麻酔して、手術をします。1か所の内痔核を切除するのにかかる時間は約10分程度です。

また、血栓性外痔核といって、肛門の外側に血栓がつまって、痛みがでる肛門の病気もあります。血栓性外痔核は血豆が詰まって腫れて痛い病気です。基本的には、自然に腫れが引いて痛みがとれ、血栓は徐々に溶けて体に吸収されて治っていきいます。どこかにぶつけて内出血して腫れて痛いと似ています。必ず自然に治っていきます。でも晴れが強かったり、血豆が大きい場合は血栓を取り除くと、痛みはスッととれて楽になります。これも局所麻酔で手術することができます。

痛みが強く、それを我慢する。お母さん本人もとてもつらいですが、おなかの中の赤ちゃんにもあまりいいことではないのではと思います。

妊娠中は痔の治療ができないと思っておられる方。そんなことはありません。大抵のことはなんでもできます。

特に、痛みは早く取り除いたほうがいいのではないかと思います。

お尻の痛みで悩んでおられる妊婦の方は、ご相談ください。