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裂肛の手術について

裂肛の手術について、今回はお話したいと思います。
裂肛は、肛門上皮といって肛門の出口から約2~3㎝ほど奥に皮膚の部分があります。この肛門上皮に傷がつく病気です。
便秘で便が硬かったり、反対に下痢のときにも傷がついてしまうことがあります。
裂肛は初めは転んだ時の怪我に似ていて、転んだら怪我をする。転ばなければ傷は治っていく。といったように、便の具合で肛門上皮に傷がつく。
でも便の状態が良ければ自然に治っていきます。ですから、初期の裂肛は、どちらかといえば、便の状態をよくすることで治っていきます。
ただ、切れたり治ったりを繰り返していくうちに、裂肛の状態は悪くなり、慢性の裂肛になっていきます。
裂肛が慢性化していくとどうなるかですが、切れると痛い。痛いと肛門の内肛門括約筋という筋肉が締まる。切れたり治ったりすることで、段々この
内肛門括約筋の緊張が強くなってしまいます。肛門の緊張が強くなり、しまりが極端に強くなってしまします。また、裂肛が原因で、裂肛の外側に皮垂
といって、皮膚のしわが出来たり、また裂肛の奥に肛門ポリープが出来てしまいます。こうなってしまうと、裂肛の根治術が必要となってきます。
裂肛の手術は、この治り難くなった原因を取り除くことが目的の手術です。
渡邉医院では、側方内肛門括約筋切開術という方法で裂肛の手術をしています。この手術は、肛門縁から少し離れた(約1㎝ほど離れた部分)ところに
役1㎝ほどの皮膚切開を入れます。そこからメスを入れて、緊張の強くなった内肛門括約筋を切開して、柔らかく、十分に肛門が広がるように肛門の緊張を
とって元の状態に戻す手術です。緊張が極端に強くなった内肛門括約筋の緊張を正常な緊張、元の状態に戻すのが目的ですので、手術をして肛門が緩んで
しまうことはありません。また、皮垂や肛門ポリープがある場合は、これらも裂肛の治りを悪くするので、切除していきます。イメージは、裂肛になる前の
状態に肛門を戻してあげるという感じです。ですから、裂肛の手術では新しく肛門の中の肛門上皮に傷はつきませんし、極端に強くなってしまった内肛門括約筋
の緊張をとるので、手術が終わった後、最初の便が痛みが軽減して、楽に出ます。排便時の痛みが強い人ほど、術後の排便時の痛みは楽になっていきます。
肛門の手術は「痛い!」と思ている方が多いですが、裂肛の手術はその痛みをとることが目的です。
排便時の痛みが強く、そして排便後も痛みが持続する。そんな痛みでお悩みの方は、ぜひ一度肛門科を受診してみてください。毎日のことですので、しっかり痛みを
とり、治していきましょう。