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11月10日、11日に第72回日本大腸肛門病学会で発表してきます。

2017.10.15

毎年11月に日本大腸肛門病学会が開催されます。今年は11月10日(金曜日)11月11日(土曜日)の二日間、博多で開催されます。

京都に帰ってきてもうすぐ24年目になります。毎年、日本大腸肛門病学会で発表してきました。

肛門科専門で診療を行っている以上、臨床での経験や研究をしっかりと発表していかなければならないと思っています。臨床で感じていることを、科学的にしっかり証明していくこと、当たり前だと思っていることに対して、しっかりと科学的に裏付けることが大切だと思っています。そういったことを繰り返していくうちに、新しい治療方法、アイデアが生まれてくるのだと確信しています。

学会での専門の先生方との議論、とても勉強になります。また、先生方の発表を聞くことで、日々の診療の向上にもつながっていきます。毎年の学会、とても刺激になります。

また、学会の後の先生方との懇親の場でも有意義な話を聞くことができます。

今回の発表の内容は、内痔核に対して外科的な治療(痔核根治術、輪ゴム結紮法、ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法(ALTA療法))を行った4081人の患者さんについて、検討しました。男性と女性で手術に差があるのか。年齢によっても手術に差があるのか。などを検討しました。

女性では男性と比べて、痔核根治術が若い方に多く、ALTA療法が少ない傾向にありました。男性では、女性と違って、若い人に痔核根治術が多い傾向はありましたが、どの年代でもALTA療法が多く占めていました。

また、年齢とともに男女ともALTA療法や輪ゴム結紮法が増えていく傾向ありました。

こういったことから、男性と女性では内痔核の性状が違うのではなきか。年齢とともに内痔核の性状が変わっていくのではにかと思います。

今年は博多での学会。以前に2回、博多で学会がありました。久しぶりに学会で出会った先輩と2回とも中洲の屋台に行ってきました。今年もまた行けたらいいなと思います。学会参加が一番の目的ですが、久しぶりの旅行。楽しんで来ようと思います。

 

抄録を載せておきます。

『当院で内痔核に対して施行した痔核根治術(以下LE)、輪ゴム結紮法(以下RBL)、ALTA療法(以下ALTA)について検討した。【対象】H18年6月~H29年4月までに外科的治療を行った4081例(男性2124例、女性1957例)を対象とした。【検討項目】①LE、RBL、ALTAの年齢別、性別での症例数。②LE、RBL、ALTAの各年齢で占める割合を年齢別、性別でそれぞれ比較検討。【結果】LEは男性522例、女性2561例。RBLは男性143例、女性例(67.3歳)。ALTAは男性1459例(54.9歳)女性623例(58.5歳)。LEでは男性では50歳台をピークに増加し、その後減少傾向にあり、女性では男性と比較してやや若く、30~40歳台をピークに減少傾向にあった。RBLでは男性では80歳以上で少ないものの、男女とも年齢とともに増加した。ALTAでは男性では50歳台でやや少ない結果だったが、男女とも60歳台をピークに増加して、以後減少傾向となった。LE、RBL、ALTAの各年齢での占める%を比較した。LEでは男女とも30歳未満でLEの占める割合が高く、年齢とともに徐々に減少した。特に女性でこの傾向がはっきりでた。RBLでは男女とも高齢になるにつれて占める割合が増加した。RBLでもこの傾向は女性に強くあらわれた。ALTAでは、男性では30歳台をピークに一端減少するもその後ALTAの占める割合は徐々に年齢とともに増加した。女性では、70歳台をピークに徐々に増加した。【まとめ】LEでは、男性は50歳台、女性は60歳台がピークであったが、年齢ごとでLEの占める割合をみると男女とも年齢とともに減少した。これに比較してRBLやALTAでは年齢とともにそれらが占める割合が増加した。この結果は、若年者ではより根治的な治療を、高齢者では侵襲の少ない治療をという意図が働いている可能性もある。またALTAで男性の30歳台で一つ目のピークがあるのは、早期の社会復帰などの社会的要因もあると考える。RBLが年齢とともに増加するのは、内痔核の性状が粘膜の脱出が主体となる症例が多くなることも一因と考える。今後、内痔核に対しての外科的治療を選択する際、根治度を求める必要はあるが、内痔核の性状や患者個々の身体的状態や社会的な背景なども考慮しながら、適切な治療方法を選択していく必要があると考える。』