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日帰り手術って・・・

2017.07.03

7月になりました。もう1年の半分が過ぎてしまったんだなと思います。今日は7月3日ですが、本当にもう夏って感じですね。

明日は台風が来るかもしれません。

最近、「日帰り手術ってなんだろう?」と考えることがあります。

もともと日帰り手術で行ている手術はあります。例えば、血栓性外痔核に対しての血栓摘出術。肛門周囲膿瘍に対しての肛門周囲膿瘍切開術。

また内痔核にに対しての輪ゴム結紮法。またパオスクレーという痔核硬化剤を使った内痔核に対しての痔核硬化療法。

こういったように、もともと日帰り手術で行っている手術があります。これらをあえて「日帰り手術」と呼ぶ意味はないのかなと思います。

本来の「日帰り手術」は、内痔核に対しての痔核根治術や、ジオンという痔核硬化剤を使っての四段階注射法による痔核硬化療法(ALTA療法)

痔瘻に対しての痔瘻根治術、裂肛に対しての裂肛根治術など、基本的に入院での手術が望ましい手術を「日帰り手術」として行うことなのではないかと思っています。

内痔核に対しての痔核根治術を「日帰り手術」で行う際に問題となるのは、術後の痛みと術後の出血です。術後の痛みに関しては、今でも、みなさんが思っているほど痛みはなく、消炎鎮痛剤の内服で抑えることができます。「日帰り手術」を行うときに最も問題となるのが、術後の出血です。

痔核根治術を行った後の出血には、早期出血と晩期出血があります。早期出血は術後24時間以内に起きる出血のことを言いますが、大抵は術後3時間以内におきます。晩期出血は、内痔核を切除する際に、内痔核の根元にある動脈を糸で縛って出血しないようにしてから切除するのですが、この動脈を縛ったところから7~10日後に出血する、動脈性の出血です。渡邉医院では現在まで約1%の頻度で晩期出血が起きています。いずれの出血も、もう一度麻酔をして出血を止めなければなりません。

このように他の根治術でも同様に、出血をどう管理するかが「日帰り手術」では重要になってきます。

入院している際に出血があった場合は、すぐに対応できますし、出血以外に心配なことがあっても、すぐに聞くことができる職員がいます。このことは患者さんにとってとても大切なことだと思います。

でも日帰りの場合は、自宅で何か心配なことがあっても、すぐに聞くことができる人がいません。渡邉医院では、何かあった場合すぐに対応できる体制は取っていますが、やはり患者さんは不安をもって自宅で療養されるのだと思います。

こういったことから、基本的には痔核根治術、痔瘻根治術そして裂肛根治術などの根治術は1泊2日以上の入院での加療を勧めています。ただ患者さんの状況などで「日帰り手術」を行う場合もあります。そういった場合は、手術後の痛みや出血。また、術後はどのように経過していくのかをしっかりお話しして、理解していただいた上で「日帰り手術」を行っています。

日帰り手術。入院しなくて済む。魅力的かもしれません。でも入院での治療も意外といいのではと思います。入院された患者さんの中には、「痔が良くなっただけでなく、久しぶりにゆっくりできて、リフレッシュした。」とおっしゃるかたも多いです。

社会的なことで日帰り手術を選択しなければならないこともあると思いますが、根治術の場合は1泊2日以上の入院での治療も考えてみてはと思います。

これから、暑い日が続くと思いますが、水分を十分にとって、体調を崩されないように。