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肛門周囲膿瘍の治療

2018.09.17

肛門周囲膿瘍という病気があります。
肛門と直腸との間に肛門腺という分泌液を出す腺があるのですが、ここに細菌が感染して化膿していく病気です。炎症を起こし化膿していくと、膿は組織の弱いところ弱いところへと広がっていきます。表面に広がり、肛門の周囲がパンパンに腫れあがりすごく痛みが出たり、場合によっては奥のほうに広がり、肛門の表面にはあまり変化がないにも関わらず痛みがすごく強くなり、場合によっては38度以上の熱が出ることがあります。
このような場合は、急いで局所麻酔をして切開して膿を出さなければなりません。膿を出すことで、痛みはスッと楽になります。
この肛門周囲膿瘍は男性に多い傾向があります。渡邉医院でも10対1ぐらいの割合で男性に多いです。そして一人、肛門周囲膿瘍の患者さんが来られると、少なくても後二人、同じ日や近い日に肛門周囲膿瘍の患者さんが受診されます。
流行する病気ではないのですが、不思議です。
さて、肛門周囲膿瘍に対して局所麻酔をして切開して膿を出すのですが、入院する必要はありません。切開してすぐに帰宅して、帰宅後出血などがあるとこまりますので、1時間程度診療所で安静にしていただいたあと、出血がないか、痛みが楽になったかを診察してから帰宅してもらっています。
帰宅する際は、切開して膿がでていますので、痛みはすでに楽になっています。出血さえなければ、まだ残っている膿が早く出てしまったほうがいいので、家に帰って横になってねているのではなく、普段通りの生活を
送ってもらっています。切開して排膿した当日は、シャワーだけにしてもらっていますが、次の日からは通常通りに入浴もしてもらっています。
内服としては抗生剤と消炎鎮痛剤を5日間内服してもらっています。抗生剤は残った最近をやっつけるために内服してもらいますが、消炎鎮痛剤も痛みだけでなく、炎症もとってくれるので、5日間は痛みがなくなっても内服してもらっています。
肛門周囲膿瘍で次に皆さんが心配されるのは、肛門周囲膿瘍の後は痔瘻になって、痔瘻の根治術を必ずしなければならないのではないということだと思います。
肛門周囲膿瘍に対して切開排膿をして必ず全ての人が痔瘻になるわけではありません。渡邉医院で肛門周囲膿瘍に対して切開排膿をしたあと、その後なんの症状も出ない患者さんは70%です。肛門周囲膿瘍になったからと言って100%痔瘻になるわけではありません。症状がでない患者さんのほうが多いです。切開排膿後、痛みはないが膿が出続けるとか、腫れたり治まったりを繰り返すなどの症状が出た場合に初めて痔瘻という病名が付きます
肛門周囲膿瘍=痔瘻。100%痔瘻根治術が必要というわけではありません。
肛門周囲膿瘍はとても痛い病気です。もしも症状がでた場合は早く受診していただき、切開して膿を出すことが大切です。