時々、「あなたの病気は内痔核ですよ。」と言われると、何の症状がなくても「自分は内痔核を持っているんだ。」と思っている方がいらっしゃいます。
女性の方で出産の時に肛門が腫れて痛くなって「痔になった。」とおっしゃる方で、なんの症状もないけど、出産後ずっと「痔」を持っているんだ。一度「痔」になったら治らないんだと思っておられる方がいらっしゃいます。
そんなことは、ありません。必ず肛門の病気は症状がでます。何の症状もなく、いきなり悪くなっていることはありません。
ですから、肛門に何の症状もなく、肛門のことが気にならない時は、「自分は治っているんだ。」と思ってください。
例えば、内科の病気ですと、自分が気が付かないうちに病気が進んで、「何かおかしい。」と思って診察を受けたときに、「血圧が高くなっていますね。」とか、「肝臓の具合が悪くなっていますね。」という風に、自分が気が付かないうちに病気が進んでいる場合があります。でも肛門の病気は、必ず症状がでます。出血するとか、痛みがある。また肛門が腫れてくる。違和感がある。など必ず症状が出ます。悪くなる時も、出血した。出血が頻回になる。また出血の量が増えてくる。また、痛みがでた。痛みがだんだん強くなる。など、症状がでて、さらに病状が進むと、その症状が強くなってきます。こういったように、必ず肛門の病気は症状がでて、病状の悪化とともに、症状が強くなってきます。ですから、逆に出血や痛みなどの症状がない時は、肛門の病気は治っているということです。
内痔核を例にあげます。内痔核の最初の症状は、排便時の出血や肛門の違和感です。この段階を第Ⅰ度の内痔核といいます。病状が進むと、今度は排便時に出血するだけでなく、排便時に内痔核が外に出てくるようになります。でも自然に中に戻ってくれます。この段階を第Ⅱ度の内痔核といいます。さらに進むと、排便時に内痔核が外に出てきて、出たままの状態になり、指で押し込まないと中に戻らなくなります。この段階を第Ⅲ度の内痔核です。一番具合が悪いのは内痔核が外に出たままで戻らなくなる状態になります。この状態を第Ⅳ度の内痔核といいます。
このように、内痔核は第Ⅰ度から第Ⅳ度へとだんだん悪くなっていきます。なんともなかったところから、いきなり第Ⅲ度や第Ⅳ度にはなりません。
ですから、肛門の病気は必ず症状が出ます。何か気になることがあれば早めに受診して、しっかり治してしまうことがいいと思います。またしっかり治して、肛門の症状がなにもない時は、もう治ってしまったんだと思ってくださいね。